- ウイルスは構造が単純であるがゆえに容易に変異(カプセルの形を変える)し、人体への侵入のしやすさや侵入する部位を変えてきます。オミクロン株のウイルスはカプセルの形を変え、これまでの株のように肺まで落ちずに上気道(口腔内、鼻腔内、咽頭など)に留まりやすくなるため風邪症状が強く、咳き込んだ際にウイルスを撒き散らしやすいです。単なる風邪と見分けがつかないがゆえに患者さんは新型コロナウイルス感染と気付きにくく、知らないうちに周囲に拡散させてしまいます。また重症の肺炎にはなりにくいため軽症者が多いとされますが、軽症というのはコロナの場合ICU(集中治療室)管理を必要としない、という意味であって必ずしも症状が軽いことを意味しません。
- オミクロン株の症状の特徴は呼吸器・消化器の症状や味覚嗅覚の障害が軽いまたは少ない代わりに症状は全身に及び、発熱、咳、倦怠感、咽頭痛、関節痛、筋肉痛、頭痛、ブレインフォグ(脳に霧がかかったように集中力の低下、記憶力の低下、混乱などをきたす)などが多くみられます。 頭痛、ブレインフォグは感染が落ち着いた後も含め半数以上に見られ、おそらくこれは脳炎を意味し後遺障害になりやすく、特に現役世代では集中力が続かない、など仕事や学業に影響が出て人生が破壊されかねません。コロナ感染時の重症度にも相関はないのが特徴です。
- 感染した場合、コロナの症状が前景に出ず、コロナの症状なのか定かではないが持病が増悪する可能性が指摘されており、むしろこれが医療機関における病床逼迫の原因になり得ます。その場合、無症状のオミクロン株感染者をそうとは気付かずに免疫が低下した患者さんの隣に入院させてしまうと院内クラスターを引き起こしやすいと言えるでしょう。
以上のような背景によって感染爆発が生ずれば、”重症” とみなされない患者(ICU管理を要さない)は高齢であっても自宅療養となる可能性が高くなると思われます。その場合、高熱、倦怠感、頭痛、ブレインフォグなどによって持病の悪化、合併症の併発、フレイル(筋力や移動能力の低下)が起こる可能性が危険なまでに高まりかねません。一人暮らしなら尚更、命に関わることです。
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