【健康コラム】高齢者に多い関節痛 ― 痛み止めとリハビリの使い分け

はじめに

日本では65歳以上のおよそ4人に1人が、膝や腰などの関節痛に悩んでいるといわれています。

日常生活のちょっとした動作でつらさを感じ、「歩くのが怖い」「外出がおっくうだ」と思うようになる方も少なくありません。そのようなとき、頼りになるのが整形外科で処方される痛み止めです。

しかし、薬だけに頼りきってしまうと副作用の心配が出てきますし、痛みの根本的な解決にはつながりにくい場合もあります。
そこで大切になるのが、薬とあわせて行うリハビリや運動です。この二つを上手に使い分けることが、より快適な生活を送るための鍵となります。

 

痛み止めの役割と注意点

整形外科でよく使われる痛み止めには、大きく分けて飲み薬、貼り薬、塗り薬の三つがあります。

  • 飲み薬(NSAIDsなど):強い効果がありますが、半年以上の連続使用で胃潰瘍のリスクが約2倍になるという報告もあり、注意が必要です。
  • 貼り薬や塗り薬:副作用が少なく、国内では65歳以上の患者さんの約60%が使用経験ありといわれるほど、使いやすい治療法です。

いずれの場合も、「効かないから」と自己判断で量を増やすのは危険です。副作用を防ぐためには、医師や薬剤師の指示を守ること、そして定期的に効果と体調を確認することが大切です。

 

リハビリ・運動の役割

痛みを根本から改善するために欠かせないのがリハビリや運動です。

例えば:

  • 椅子に腰掛けて足を伸ばす「膝伸ばし運動(1日10回×2セット)」
  • 軽い散歩「1日15〜20分程度」

といった簡単な運動でも効果があります。研究では、3か月以上運動を続けた高齢者の約70%が痛みの軽減を実感したという報告もあります。運動は即効性こそありませんが、筋力や柔軟性を保ち、再発防止につながります。まさに「長く効く薬」と言えるのです。

 

薬と運動の使い分けのコツ

薬と運動はどのように組み合わせるとよいのでしょうか。

ひとつのコツは、「薬で痛みを和らげ、その間に運動を取り入れる」という流れです。
痛みが強いときに無理をして動くと関節を傷める危険があります。そこで、薬を使って動きやすい時間を確保し、そのタイミングで軽い運動やリハビリを行うのです。この習慣を続けることで、半年後には薬の量を減らせる人も2〜3割いると言われています。

 

まとめ

痛み止めとリハビリはライバルではなく、お互いを補い合う存在です。薬は日々の生活を楽にしてくれる「短期的な助っ人」、運動は将来の健康を支える「長期的な味方」と言えるでしょう。大切なのは、自分に合ったバランスを見つけることです。痛みと上手につきあいながら、薬と運動の両方を味方にして、より安心で元気な毎日を目指しましょう。

  

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