
はじめに
「熱中症」と聞くと、多くの人が真夏の炎天下を想像するかもしれません。しかし実は、気温がそれほど高くない5月でも、脱水症から始まる体調不良が起きることがあります。特に春の陽気で活動が増えるこの時期、「まだ5月だから大丈夫」と油断してしまうことが、思わぬ体調不良につながることも。今回は、5月に起こりやすい“春の脱水症”とその予防方法についてお話しします。
春でも脱水症になる理由
5月は朝晩は涼しく、日中は20度を超えることが多い時期です。この寒暖差で体が適切に対応できず、知らないうちに体温が上がり、汗をかくことがあります。しかも、湿度がまだ高くないため、汗が蒸発しやすく、本人も「汗をかいている」ことに気づきにくいのです。さらに、春は新しいことを始めたり外出が増えたりする季節。活動量が増えることで、体内の水分は気づかぬうちに失われていきます。
高齢者が特に気をつけるべき体の変化
年齢を重ねると、喉の渇きを感じにくくなるため、水分不足に気づくのが遅れてしまいます。また、体内の水分量そのものも若いころより少なくなっており、少しの脱水でも影響が大きくなります。さらに、腎臓の働きも弱くなり、体の中の水分バランスを保つ力が低下します。その結果、少しの水分不足でも血圧の低下やふらつき、転倒といったリスクが高まるのです。
家庭でできる脱水予防の工夫
1日に必要な水分量は、おおよそ1.2〜1.5リットル。これを1回にたくさんではなく、コップ1杯(約200ml)を数回に分けてこまめに飲むのがコツです。お茶だけではなく、味噌汁や果物、スープなど食事からの水分補給も効果的です。
また、室内の温度管理も大切。暑く感じなくても、室温が25度を超える場合は扇風機やエアコンの使用を検討しましょう。
こんな症状に注意!春の脱水サイン
脱水症の初期には、次のような症状が現れます。
口の中が乾く
軽い頭痛や立ちくらみ
トイレの回数が減る、尿の色が濃くなる
倦怠感(なんとなくだるい)
これらの症状があるときは、無理せず水分補給をし、涼しい場所で安静にしてください。改善しない、または動けないほどの体調不良がある場合は、早めに医療機関へ相談することが重要です。
まとめ
「5月はまだ大丈夫」と思っていたのに、知らないうちに体は脱水状態に…。そんな事態を防ぐためには、「のどが渇く前に飲む」「部屋を涼しく保つ」「食事にも水分を意識する」といった日常のちょっとした工夫が大切です。気持ちのいい春の日々を元気に過ごすために、ぜひ今日からできる脱水予防を始めてみましょう。