医療法人社団KNIとNEC、AIを活用した 医療・社会改革に向けた共創を開始!

医療法人社団KNI(所在地:東京都八王子市、理事長:北原 茂実、以下、KNI)と日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼CEO:新野 隆、以下 NEC)は、KNIが目指す「医療をツールとした社会改革」のために掲げている、予防や地域医療まで包括する「デジタルリビングウィル(注1)」、「トータルライフサポートサービス(注2)」、AIを活用して医療の質向上と業務効率化を目指す「デジタルホスピタル(注3) 」の実現に向けて取り組みを開始します。

KNIでは、医療・社会改革の1つとして、医療分野へ高度なICTを活用する「デジタルホスピタルの実現」を推進しています。これまでもNECと、AIを医療分野に活用するための共創活動を行っており、今回の取り組みもその一環となります。

今回の実証では、両者で医療現場の改善箇所を検討・抽出し、経営上影響がある入院期間の適正化を目的としました。そして、退院を遅らせる要因を過去の電子カルテデータから分析した結果、高い改善効果が見込まれる入院患者の不穏行動(注4)の予兆検知と退院先の予測に、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」(注5)を活用して実証に取り組みました。

その結果、不穏行動の予兆のある患者を71%の精度で約40分前に未然検知するとともに、入院翌日までの情報を活用し、退院支援で重要な退院・転院先を84%の精度で予測できました。これにより、患者の入院長期化の回避による早期の社会復帰や、対応するスタッフの業務負荷軽減、退院待ちの解消にともなう新たな患者の受け入れが期待できます。

今後、2017年12月に開院される北原リハビリテーション病院新棟(東京都八王子市)において、回復期病院の課題解決に向けて、今回の実証、およびAIを活用した更なる取り組みを行います。これにより、患者への満足度の高い医療の提供と共に、病院スタッフの業務改革を実現し、継続的な医療サービスの提供につなげます。

両者は、共創パートナーとして、AIやIoTなど先進のICT技術を活用して、未来の医療と人々を支えるシステムの構築を目指します。

【背景】

超少子高齢化の進展に伴い、今後、医療の財源不足と人材不足はより深刻化していきます。限られた財源と人材で患者の増加と多様化するニーズに対応するためには、徹底した業務の効率化と医療の質の向上が必要となります。

KNIでは、これらの課題に対して、「デジタルホスピタルの実現」という医療分野へICTを活用して解決する取り組みを積極的に行ってきました。今回はこの取り組みの一環として、経営上影響がある、入院期間の適正化を目的に以下の2つに取り組みました。

【今回の取り組みについて】

1.患者の不穏行動の予兆を検知してリスク対策を強化

KNIにおけるカルテ分析の結果、入院患者の約34%に不穏行動が確認されました。不穏行動を起こした患者は、退院が通常の患者よりも約19日遅延しており、スタッフの業務負荷を増大させる要因にもなっていました。

今回の実証では、患者が着用した時計型のセンサーから、バイタルデータ(体温、心拍など)を取得し、これらのデータからAIを活用して特徴を抽出し、不穏行動につながる予兆を検知することに取り組みました。NECの認証技術で培われた機械学習の適用により、人ごとに異なる不穏行動の特徴を抽出し、患者の不穏予兆を平均40分前に71%の精度で検知しました。

これまでは、患者の不穏行動が起こってから対応していましたが、AIで不穏行動を予兆検知することで、予兆段階での対応が見込めます。これにより、患者の入院長期化の回避、対応するスタッフの業務負荷軽減が期待できます。

2.退院先の予測により、退院・転院調整を支援

患者の入院時に、自宅、回復期病院、慢性期病院などの退院先を予測できれば、治療と並行して退院・転院調整を行うことができます。KNIで行った実証実験では、入院翌日の電子カルテデータから退院先を84%の精度で予測しました。入院の早期の時点から退院・転院調整を行うことで、退院待ちの解消、患者の早期社会復帰、ベッドが空くことによる新たな患者の受け入れも期待できます。

KNIは近い将来訪れる超高齢社会とその先の未来においても、一般市民が安心・安全・快適な生活を送れるように、医療をツールとした社会改革を進めます。

NECは、今後もAI・IoT技術をはじめとする先進ICTを活用した取り組みを通じて、医療におけるデジタルトランスフォーメーションを加速することで、医療における新たな社会価値「共創」に貢献していきます。

以上

(注1) デジタルリビングウィル:

基本医療情報や生活情報、様々な医療処置に対する承諾や遺言に至るまで全ての個人情報を蓄えておくシステム。事前に「脳卒中になった場合、手術を受けたいか」、「延命治療を受けたいか」など「会員の意思」を登録しておけば、意識を失って倒れてしまった場合にも「会員の意思」に沿った形でスピーディな治療、医療サービスを受ける事が可能となる。超高齢社会が抱える課題を解決するためのシステム。

(注2) トータルライフサポートサービス:

デジタルリビングウィルで登録された会員データをもとに、医療・介護サービスはもとより買い物代行から、家電、家屋の修理、ペットの預かり、自分のお葬式の用意、遺言書の作成代行に至るまで生活の全てを支援するサービスを受ける事が可能となる。

(注3) デジタルホスピタル:

様々なセンサーやAI技術により自動化された病院の概念。AIによって適切な診断や治療の提供が支援されることにより、医療の質の向上と業務の効率化が可能となる。

(注4) 不穏行動:

入院患者に起こり得る急性の錯乱状態で幻覚妄想、感情不安定、混乱などがある。

(注5)「NEC the WISE」(エヌイーシー ザ ワイズ)は、NECの最先端AI技術群の名称です。”The WISE”には「賢者たち」という意味があり、複雑化・高度化する社会課題に対し、人とAIが協調しながら高度な叡智で解決していくという想いを込めています。

※本紹介は技術実証の紹介であり、販売・授与はできません。

<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>

医療法人社団KNI デジタルホスピタル責任者

E-Mail:Teppei_Shimizu@kitaharahosp.com

NEC 医療ソリューション事業部

E-Mail:dh_press@med.jp.nec.com

<本件に関する報道関係からのお問い合わせ先>

医療法人社団KNI 広報責任者 亀田

E-Mail:Yoshikazu_Kameda@kitaharahosp.com

NEC コーポレートコミュニケーション部 高木

電話:(03)3798-6511

E-Mail:a-takaki@ap.jp.nec.com